FX市場での取引量は、取引される通貨ペアによって大きく異なります。
一般的に「取引量が多い通貨ペアは流動性が高く、スプレッド(売買の価格差)が小さい」傾向にあります。
また下記の通貨ペアの情報は3年ごとに行われる国際決済銀行(BIS)の調査をもとにしています。
下記のURLから確認できますので、参考までに時間があるかたは読んでみてください。
https://www.iima.or.jp/docs/newsletter/2022/nl2022.27r.pdf
1. メジャー通貨ペア (Major Pairs)
メジャー通貨ペアは世界で最も取引量が多く、流動性が高い通貨ペアです。
これらのペアは主要な国の通貨が含まれています。
EUR/USD (ユーロ/米ドル)
世界で最も取引量が多い通貨ペア。全取引の22.7%を占めるとされています。
取引量が非常に多いため、スプレッドが小さく、流動性が高い。
USD/JPY (米ドル/日本円)
取引量が2番目に多い通貨ペア。全取引の13.5%を占める。
日本市場の影響を強く受ける。
GBP/USD (英ポンド/米ドル)
主要通貨ペアの一つであり、全取引の9.5%を占める。
英国と米国の経済指標や政策の影響を受けやすい。
USD/CNY(米ドル/中国人民元)
中国の通貨人民元は比較的新しい通貨です。
全取引の6.6%を占めます。
経済成長が著しく発展していたころに中国人民元を基軸通貨(メジャーな取引通貨)にすべく、人民元による取引を続けて今この位置にいます。
今後は中国の経済状況次第なところがあるため、通貨としての信用性が中国の経済とともに崩壊しないかどうか観察する必要があります。
USD/CAD (米ドル/カナダドル)
カナダの経済指標や商品価格(特に原油)の影響を受けやすい。
全取引の5.5%を占める。
AUD/USD (豪ドル/米ドル)
オーストラリアの経済状況や商品価格の影響を強く受ける。
全取引の5.1%を占める。
USD/CHF (米ドル/スイスフラン)
スイスフランの安全通貨としての地位により、安定した取引量を維持。
全取引の3.9%を占める。
2. クロス通貨ペア (Cross Pairs)
クロス通貨ペアは、米ドルを含まない通貨ペアです。
これらのペアも高い流動性を持つことがありますが、メジャー通貨ペアほどではありません。
- EUR/JPY (ユーロ/日本円)
- GBP/JPY (英ポンド/日本円)
- EUR/GBP (ユーロ/英ポンド)
上記3つの通貨ペアは比較的取引がしやすく、取引コストも高くないため個人が取引することに適しています。
3. エキゾチック通貨ペア (Exotic Pairs)
エキゾチック通貨ペアは、取引量が少なくスプレッドが大きくなる傾向があります。これらのペアは、通常新興国の通貨と主要通貨の組み合わせです。
- USD/TRY (米ドル/トルコリラ)
- USD/ZAR (米ドル/南アフリカランド)
- USD/MXN (米ドル/メキシコペソ)
エキゾチック通貨ペアは、ボラティリティが高く取引リスクも高く、個人での取引には比較的向かない通貨ペア。(取引コストが高いため)
まとめ
取引量の多い通貨ペアほど流動性が高く、スプレッドが小さいため、トレーダーにとって取引コストが低くなるメリットがあります。
しかし取引量や流動性は市場の状況や取引時間帯によっても変動するため、自身の取引スタイルによって変更しましょう。
なるべく「取引量が多く、流動性の高い通貨ペア」を選択することで、取引コストを下げたりテクニカル分析やファンダメンタルズ分析の精度を上げることができます。
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